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モーターを専門に扱う『スリーピース株式会社』の代表・西山弘信が、モーターならではのトラブルを解説。
モーターに関して、お悩みのトラブルや検討中の課題などがある方は、ぜひご一読ください。
※2021年時点
分包機では、薬剤を正確かつ安定して供給するため、高い停止精度や静音性、長寿命化が求められます。
その一方で、オーバーランや粉薬詰まり、頻繁なON・OFF動作による摩耗など、モーター起因のトラブルが発生しやすい機器です。
本ページでは実際の改善事例を紹介します。
モーター外径(ローター径)が大きい場合、慣性が増えるため停止時の制御が難しくなり、オーバーランが発生しやすくなります。
また、モーター回転数と減速比のバランスが適切でない場合、必要なトルクや応答性を得られず、装置の動作に不具合が生じる可能性があります。
モーター外径(ローター外径)が大きいモーターを選定すると、回転時の遠心力が大きくなるため、停止指令後も惰性で回転し続けやすく、停止位置の精度が低下します。そのため、オーバーランを抑えたい場合は、モーター外径(ローター径)の小さいモーターを選定することが有効です。
また、モーター単体の構造によってオーバーランが大きい場合は、減速機を用いて減速比でオーバーラン量を吸収する方法があります。
たとえば、モーター単体でオーバーランが10回転発生する場合でも、1/10の減速比を持つ減速機を取り付ければ、出力軸側のオーバーランは1回転に抑えられます。
モーター停止後の停止位置が安定し、装置で発生していた位置異常エラーが解消されました。
ステッピングモーターほどの高い位置精度は持たないものの、DCモーターで対応可能な用途であれば、ステッピングモーターを使用するよりも低コストで設計できるというメリットがあります。
粉薬が非常に軽いため、スロープ上で途中停止してしまう問題がありました。
当初はソレノイド※で振動を与えて解決する設計を検討していましたが、作動時の衝撃音が大きいため、医療機器としては不向きでした。
※ソレノイド…コイル(巻線)に電流を流して磁場を発生させ、その力で鉄心(プランジャー)を直線的に動かす電磁アクチュエータ

もともとソレノイドを使用していましたが、作動時に板金へ当たる衝撃音が大きいという問題がありました。
そこで、分銅を内蔵した振動モーターへ変更したところ、スロープ全体を振動させることで粉薬がスムーズに滑り落ちるようになり、動作音の低減と搬送性の改善を実現できました。
軸の片側に錘(おもり)をつけて回転させることで、回転方向に周期的な力(遠心力)が発生し、振動として伝わります。(画像参照)

振動モーターには標準サイズの製品がありますが、標準仕様では十分な振動量が得られない場合、分銅の重さや大きさを変更して振動量を調整するカスタム対応も行っています。
画像は振動モーターの外観
気になっていた動作音が改善され、粉薬の詰まりも解消されたことで、常に定量の粉薬を安定して排出できるようになりました。 医療機器は人への影響が大きい装置であるため、品質の安定は極めて重要です。今回の改善はメーカーとしての信頼向上にも大きく寄与しました。

ON・OFFのサイクルが非常に細かく、頻繁に通電と遮断を繰り返すことで接点スパークが多発していました。
その結果、ブラシへの負荷が増大し、通常よりも早い段階でブラシ摩耗が進行していました。
画像は、目標の耐久時間前にマイナス側のブラシが摩滅した状態です。
運転Duty(デューティ)※を確認したところ、ON・OFFの駆動サイクルが非常に細かく、停止時にはショートブレーキが多用されていることが分かりました。
また、回転方向が一方向に限定されているため、ブラシ摩耗が+側と-側で偏る傾向も確認されています。
これらの状況を踏まえ、装置の使用方法に影響しない範囲で、OFF時間を増やすなど運転サイクルの見直しを提案しました。
※運転Duty(デューティ)…モーターや機器が一定の周期(1サイクル)の中で、実際に稼働(オン)している時間の割合(%)

寿命不足の問題から、高単価のブラシレスモーターへの変更が検討されていました。
しかし、運転サイクルの見直しを提案したことで、低単価のブラシ付きモーターのままでも要求寿命を満たすことが可能になりました。
運転Duty見直しによって、耐久時間をクリア。ブラシ残量もあります。(画像参照)
この結果、ブラシレスモーターへの置き換えが不要となり、単価ベースで4,000円以上の大幅なコストダウンを実現できました。
分包機の課題解決には、高価な部品への置換だけでなく、モーター径の選定や振動モーターの導入、運用サイクルの見直しが極めて有効です。これにより信頼性を高めつつ、大幅なコスト削減を実現できます。
停止位置の精度向上や搬送時の静音化、長寿命化でお悩みの方は、実使用環境に即したスリーピースの最適化提案をご検討ください。