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工場や倉庫の自動化・省人化において不可欠となっているAGV(無人搬送車)やAMR(自律移動ロボット)などの搬送マシンは、日々の過酷な運搬作業の中でモーターや駆動系に関わるさまざまなトラブルに直面することがあります。安定した自動化稼働を維持するためには、現場で発生しがちな具体的な症状とその原因を正しく把握し、適切な切り分けと対策を行うことが重要です。
AGVやAMRが全く動かない、あるいは走行しない状態にある場合、積載重量の超過、車輪への異物の噛み込み、駆動部の摩擦増加、電磁ブレーキの解除不良、バッテリーの電圧低下などが原因として考えられます。モーターが出せるトルクより負荷トルクが大きい場合、モーターが回転できず、発熱や過負荷アラームにつながるため注意が必要です。また、AMRは人や障害物を検知すると自動的に停止する仕組みを持っています。
指示された速度が出ずに走行速度が遅かったり、なかなか加速しないトラブルでは、積載重量の増加、バッテリー電圧の低下、モーターのトルク不足、減速機の劣化、車輪やキャスターの回転抵抗増加などが原因として考えられます。無負荷の単体状態では正常に動くものの、実際に荷物を積載すると速度が著しく低下する場合は、過負荷状態、モーターのトルク不足、駆動輪の滑りなどを重点的に確認します。
まっすぐ進むはずの車体が左右に蛇行してしまう場合、左右の駆動輪を別々のモーターで制御する方式では、左右モーターの回転数差や制御パラメータのずれによって蛇行する場合があるため注意が必要です。さらに、エンコーダの検出不良、ケーブルの断線や接触不良、左右の車輪径や摩耗状態の違い、片側の減速機や軸受の抵抗増加なども原因として考えられます。左右のバランスやセンサー信号の整合性を細かく点検することが求められます。
予定通りの方向へ旋回できない、あるいは曲がりづらい症状について、差動二輪方式では、左右モーターの速度差によって旋回するため、片側のモーターやエンコーダに異常があると旋回できなくなる場合が多々あります。また、ステアリング方式では、操舵モーターの故障、操舵軸や減速機の固着、操舵角エンコーダの異常、原点位置のずれなどが原因として考えられます。「直進はできるが旋回できない」という具体的な症状は、操舵系または片側の駆動系を切り分けるための重要な手掛かりになります。
通常とは異なる音が聞こえる場合、軸受の摩耗・損傷、歯車の損傷、異物の噛み込み、電磁ブレーキの引きずり、取り付け部の緩みなどが原因として考えられます。「ゴロゴロ」「ガリガリ」「キーキー」「カタカタ」「ブーン」といった音色の違いから、軸受、減速機、ブレーキ、過負荷などの発生箇所をある程度推定できる場合があるほか、異音が必ずしもモーター本体から発生しているとは限らない点にも注意が必要です。
走行中の車体に不自然な振動が発生したり、低速での滑らかな走行が安定しないトラブルでは、サーボゲインの設定不良、モーターと負荷慣性の不整合、左右モーターの同期ずれ、エンコーダ信号の異常などが原因として考えられます。これらに加え、減速機のバックラッシ、車輪の変形・偏摩耗、モーターや減速機の固定不足、車体フレームとの共振によっても振動が発生することがあります。
モーター本体やその周辺が触れないほど異常に熱い場合、急加速・急減速の繰り返し、上り坂での連続走行、モーター容量不足、電流値やゲインの設定不良、冷却不足、高い周囲温度なども発熱につながる要因となります。特に、車輪が何らかの理由で動かない拘束状態で通電を続けると、過電流によってモーターが急激に発熱し、焼損のリスクを高める可能性があるため迅速な確認が必要です。
稼働中に予期せず突然停止してしまう現象は、モーターやドライバの過電流、過負荷、過熱、バッテリー電圧低下などによって保護機能が作動している可能性を示しています。特に急減速や下り坂走行では、モーターが発電機として働き、回生電力によってドライバ側の電圧が上昇する場合があるため注意が必要です。停止後すぐに再起動するのではなく、ドライバのエラーコードやアラーム履歴を確認し、正確な停止原因を切り分けることが重要です。
目標とする停止位置を通り越したり、手前で止まるなどのずれが生じる場合、積載重量や重心位置の変化、加減速設定の不適合、モーターのトルク不足、左右輪の制御ずれ、床面の滑りなども停止精度に影響を与えます。AMRの場合は、モーター制御だけでなく、LiDARやカメラなどを使った自己位置推定のずれも確認対象となります。エンコーダから算出した移動量と、LiDARやマーカーから算出した現在位置のどちらにずれがあるかを確認すると、原因をスムーズに切り分けやすくなります。
モータートラブルが発生した際は、まず安全装置や障害物検知による正常な停止かどうかを確認することが基本です。次に、モータードライバのアラームやエラー履歴を確認し、過電流、過負荷、過熱、電圧低下、エンコーダ異常などの有無を調べます。そして、左右どちらの駆動系に異常があるか、走行・操舵・昇降・移載のどの動作に異常があるかを確認し、可能な範囲で無負荷状態でもモーターが回らないのかを検証しながら、モーター、ドライバ、配線、ブレーキ、減速機、車輪などを順番に切り分けていきます。